「考える図書館」〜一人ひとりの心によりそって〜

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「通信あけのほし」279号を発行しました

支援者向けニュースレター「通信あけのほし」279号(9月24日号)を発行しました。
最新号の巻頭言と館長挨拶を以下に掲載します。

  巻頭言 アフリカの希望   菊地功(きくち いさお)

 この夏、14年ぶりにアフリカのガーナへ出かけてきました。
 日本からは中東のドバイで乗り換えて、ガーナの首都のアクラまで、ほぼ24時間の移動です。「夏の真っ盛りにアフリカへ行くとは」と思われますか。わたしたちの滞在中、日中の最高気温は27度程度で、東京よりもはるかに過ごしやすい。もう東京に戻りたくないと思うほどの毎日でした。
 今回の旅の目的は、その昔、38年前に、わたしがカトリック教会の司祭として最初の8年間を過ごしたオソンソンという村出身の青年が、カトリック教会の司祭になるにあたり、その式(叙階式)を、司教として行うことを依頼されたためでした。14年前の訪問も、同じ理由でしたので、この村出身の二人目の司祭です。
 アフリカの多くの国は政権が不安定なことが多く、しばしば軍隊によって政権転覆などが起きたり、軍事独裁政権であったりすることがあり、経済的にも安定していません。わたしが働いていた頃もガーナは軍事独裁政権でしたが、その頃、1992年に民政移管して大統領をいただく共和国となり、それ以降、現在に至るまで軍隊による政権転覆などは起きていません。この1年くらいは激しく低迷しているものの、民主主義政権が定着してきたことから、全般的な経済状況も、他のアフリカ諸国に比べると安定しています。
 首都アクラは大きく変貌していました。30年以上前にはなかった幅の広い道路が立体交差で縦横に張り巡らされ、高層のオフィスビルやホテルも目につきます。車もピカピカです。しかし、郊外に出ると何も変わっていません。昔ながらの未舗装の道路。すさまじい砂埃と渋滞。村の住宅事情もそのままです。昔わたしが働いていた頃は、オソンソン村に電気はつながっていませんでしたが、数年前にそれも解消され、いまでは誰でもスマートフォンを手にしていました。
 大きく発展し変化したようで、根本的には何も変わっていない。そんなガーナで行われた司祭叙階式は、なんと4時間以上。日本で同じ式をすれば2時間ほどです。その翌日に、新しく司祭となった青年が、オソンソン村で捧げた最初のミサは5時間越え。普段の日本の教会なら1時間です。連日の長時間の行事で体はくたびれてしまいましたが、心は満たされました。
 長い時間集まる皆さんの目は輝き、大勢いる子どもたちは喜びにあふれ、ドラムに合わせて教会の中で激しく体を動かしながらリズムをとって踊っていました。心からの喜びを、思いっきり表現する力。ガーナの未来を明るく照らす希望の光です。アフリカの希望は、この喜びの力強さにあります。

「シカクの窓」を活用しましょう   館長 平井利依子(ひらい りいこ)

 私たち点字図書館業務に従事している者は、自分たちの業務のほか視覚障害関係の情報を少なからずキャッチしています。しかしそれは狭い世界のことで、点字図書館のこと、視覚障害関係のことはまだまだ世間一般では知られていません。そんななか、この「通信あけのほし」を読んでくださっている皆さんは、少しは点字図書館の状況等を理解してくださっていると思います。
 私たちもアンテナを張って、視覚障害についての情報を収集しているつもりですが、すべて把握しようとしても無理があります。そして、そのような情報を「通信あけのほし」にすべて載せることもできません。
 そんな悩みを解決してくれるのが、2023年12月20日に公開されたサイト「シカクの窓」です。視覚障害の情報窓口とあり、「シカクの窓へようこそ!『シカクの窓』は、視覚障害に関する様々な情報への窓口です。あなたの知りたい情報にたどり着きますように!」と書かれています。
 このサイトを公開・運営しているのは、全国視覚障害者情報提供施設協会(全視情協)という認定NPO法人です。全視情協のホームページには、「1977年から、視覚障害者の自立と社会参加のための“豊かな情報提供”を目標に掲げて、全国の視覚障害者情報提供施設と団体が手をつなぎ、様々な事業を進めてまいりました。」とあります。私たちの業務や利用者にとって欠かせない読書ツールの視覚障害者情報総合ネットワーク「サピエ」を運営している協会です。私たちが業務をしていくなかで、時代の流れに即した最新業務の提案、先導をしてくれたおかげで、全国の図書館が足並み揃えて業務を遂行出来ていますし、疑問質問にも対応してくれます。時にはトップダウンのような場合もありましたが、振り返ると、図書館が自ら労力と予算を費やして時代に合った新規事業をするのは難しく、全視情協は点字図書館・関係機関にとってありがたい存在です。
 このサイトには、新着記事や、さまざまなコンテンツがあります。「サピエ図書館」の紹介はもちろん、各地でのイベント情報、研修会の案内等があり、投稿もできます。コンテンツは「支援・相談窓口」「便利な道具・アプリ」「生活の知恵」「余暇・趣味」「目の病気・医療」「読書・サピエ」「応援・寄付」に分類されています。見えない・見えにくい、どうしたらいいだろうと困った時、視覚障害者が何かしたいなと思った時、家族や知り合いが視覚障害になった時、視覚障害援助のボランティアがしたいと思った時…、当事者や家族や支援者、興味のある方々に役立つ情報が満載です。また、何気なくサイトを覗いても、読み物として面白いのでおすすめです。
 最近特に役に立ったのは、やはり災害情報です。1月に発生した能登半島地震の視覚障害者関係の情報は、支援先や、被災された視覚障害者の相談窓口の情報など、随時記事が更新されていきました。視覚障害に特化して、ひとつにまとまっているところが便利で、わからないことがあったら「シカクの窓」を頼ってみるのもいいと思います。
 この「シカクの窓」はオープンしてまだ間もないこともあり、まだまだ充実させていかなくてはなりません。このサイトについても、私たち図書館は全視情協事務局だけに任せるのではなく、皆さんに役立つサイトになるよう、精一杯協力していきたいと思っています。皆さんも、一度興味のあるコンテンツから読んでみてください。視覚障害の世界の新しい発見が必ずあるはずです。
 (「シカクの窓」ホームページ https://www.naiiv.net/)

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