「考える図書館」〜一人ひとりの心によりそって〜

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ニュースレター「通信あけのほし」

当館支援者向けに年4回、ニュースレター「通信あけのほし」を発行しています。
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最新号の270号(2022年7月26日号)より巻頭言を以下に掲載します。

 巻頭言 大切な選択   理事長  菊地功

 7月10日は参議院議員選挙の投票日でした。選挙を管轄する総務省のホームページには、「投票する。一票はわたしの声だから」と言う標語が、二人の人物の写真の間に記されて掲げられていました。二人の人物は、右が男性、左が女性。
 投票することができるのは、「満18歳以上の日本国民で、選挙人名簿または在外選挙人名簿に登録されている方」と記載されています。成人年齢が18歳と変更となったことで、投票ができる人口が増えたわけですが、国民の成人男女が投票できることを当然のことだとわたしたちは思っています。
 しかし歴史を振り返ってみれば、日本でいわゆる普通選挙が定められた1925年には、投票ができたのは25歳以上の成年「男子」でありました。女性が投票することが認められ、それが普通になったのは、第二次世界大戦後のことです。今当たり前の権利だと思っていることは、少し前には存在せず、それを実現するために多くの人が力を尽くしてこられました。
 多くの人の努力のたまものとして、自らの国の舵取りをする政治の指導者たちを選ぶ権利を手にしたのですが、残念ながらその権利は充分には行使されていません。3年前、第25回参議院議員通常選挙では、48.80%の投票率であったといいます。
 わたしは1986年から1994年まで、西アフリカのガーナという国で働いていました。ガーナでは1981年12月末にクーデターが発生し、憲法は停止、議会も解散となって、わたしが赴任した当時は暫定国防評議会による軍政下でした。その後1993年に共和制が復活するまで、いわゆる選挙は全く行われず、議会もないのですから、ある日突然法律ができて公布されたり、突然教育などの制度が変わってみたりと、日本人の目から見ると混乱した毎日でした。軍事独裁政権下で感じたことは、結局そのときの指導者次第で全てが決まる不安と不確実さです。つまり指導者が「善人」であるならよいが、「悪人」であったら目も当てられない。そして誰もそれを変える術を持っていない。選挙権が普通にあることのありがたさを、ガーナでの生活でつくづく感じました。
 カトリック教会の教えをまとめたカテキズムには、「政治体制は国民の自由な決断によって定められ、人々の恣意ではなく法が支配する《法治国家》の原則を尊重」しなくてはならないと記されています(カテキズム要約406)。それが皆の幸福につながる共通善の実現となるからです。
 これからも選挙には出かけましょう。「一票はわたしの声だから」。

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