新刊図書目録「ロゴスのほん箱」
当館利用者の方々に新刊図書目録をお送りしております。
「ロゴスのほん箱」は偶数月に発行し、点字版、点字データ版、録音版、墨字版を利用者の方のご要望に応じて無料でお送りしております。
最新号の点字データとデイジーデータは以下よりダウンロードしてご利用ください。
●「ロゴスのほん箱」 第139号(2023年4月20日発行)●
点字版(zip・BES 10KB)
デイジー版(zip・10MB)
また、最新号から「潮見からのメッセージ」を以下に掲載します。
☆潮見からのメッセージ☆
皆さんこんにちは。今回は、「ロゴスのほん箱」編集部よりメッセージをお届けします。
春ですね!
私は毎日、自宅から図書館まで1時間20分ほどの道のりを白杖を使って通勤しています。
毎朝、日差しの暖かさやどこからともなく漂ってくる花の香りなどを感じながら歩いていると、なんとなく心も浮き立ちます。
一人で通勤していますと、季節を問わず多くの人との出会いがあり、思いもよらないドラマが生まれます。
先日もこんなことがありました。
「お客さまぁ、ご案内しまぁす」
たくさんの人が行き交う朝の新木場駅。改札を通り抜け、人混みの中をホームへと向かう私の後ろから走ってくる駅員さん。視覚障害者のホーム転落事故が増えた頃からでしょうか。ホーム柵のない新木場駅では、毎日のように駅員さんが私の乗り換えを手伝ってくれるようになりました。
「ちょうど来ましたねえ。この電車でご案内しまぁす」
その日も、タイミングよく着いた電車に乗せてもらえて、一人だったらこの電車には間に合わなかったかもしれないと感謝したのも束の間。「この電車は快速東京行きです」というアナウンスにハッとしました。
ロゴス点字図書館は、新木場から各駅停車の東京行きに乗って一つ目。快速に乗ってしまうと、潮見を通り越して、二つ先の八丁堀駅まで止まりません。
駅員さんに誘導してもらえる時でも、「各駅ですよね?」と必ず確認してから乗っていたのに、その日に限って、タイミングよく着いた電車に、案内されるままに喜んで乗ってしまったのでした。
八丁堀駅で降りると、ホームで駅員さんが待っていてくれました。「やぁ、すみませんねー、お客さま。今、新木場駅から連絡が入ったんですよ。間違えて乗せちゃったから頼むって・・・」
停車駅も確認せずに乗ってしまったのは私なのに・・・。新木場駅の駅員さんの律儀で正直なお人柄に触れ、心が温かくなるのを感じました。同時に、毎日たくさんの人に助けられながら生活する中で、いつの間にか、自分のことを人に委ねてしまっているところがないだろうかと、反省する思いでした。
視力があるかどうかにかかわらず、完全な人などいないはず。自分の行動や安全は、人に頼らず自分できちんと管理しなくてはと、改めて思った出来事でした。
アクシデントに出合いながらも、人の心のぬくもりに触れ、大切なことを思い出すこともできました。春の日差しの中を図書館に向かいながら、心もホッコリ温かくなるのを感じた朝でした。
「ロゴスのほん箱」4月号が、皆さんにとって、実りある本との出会いの場となりますように。