「ロゴスのほん箱」148号を発行しました
新刊図書目録「ロゴスのほん箱」148号(10月20日号)を発行しました。
以下より点字データとデイジーデータがダウンロードできます。
●「ロゴスのほん箱」 第148号(2024年10月20日発行)●
点字版(zip・BES 10KB)
デイジー版(zip・12MB)
また、最新号から「潮見からのメッセージ」を以下に掲載します。
☆潮見からのメッセージ☆
「栗」にまつわる思い出
館長 平井利依子
ようやく秋になってきました。今年の酷暑は耐えがたいほどでしたが、皆さまは暑さを乗り越えられましたでしょうか。私は夏に体調を少し崩してしまい、回復には時間がかかりました。
読書の秋、スポーツの秋、食欲の秋となりましたが、今回は、秋の味覚の「栗」の思い出についてお話しようと思います。
毎年、秋になると大量の栗の渋皮煮を作ってくださったボランティア、Mさんについてです。Mさんはボランティア活動をする前は、民放ラジオのアナウンサーで、女性DJの先駆けだったと思われます。では、音訳ボランティアかというと、それだけではなく、視覚障害援助すべての活動をされていました。点訳、音訳は当然、レクリエーション活動や、誘導、在宅援助、拡大写本、テープやCDのコピー作業・・・利用者が困っていると必ず手を差し伸べる、すごい人でした。そして必要な活動を次々に立ち上げ、定着させました。Mさんの口癖は「目の代わりをしているだけ。」「必要なくなったら活動はすぐやめる。」でした。
Mさんは物事をはっきりおっしゃる方で、視覚障害のこと、点字図書館のことなど、時には厳しく教えていただきました。怒られたことも数知れず。でもいつも気さくに声をかけて励ましていただき、相談すれば、親身になって乗ってくれました。ボランティアの中でもリーダーとして、多くの信頼を得ていました。
Mさんは当然のことながら、ご自身の会社経営やボランティア活動で、毎日忙しくされていましたが、秋になると、必ず私たちにたくさんの栗の渋皮煮をくださり、それがとびきりおいしく、喜んでいただいていると、翌日も翌々日も持ってきてくださいました。あれだけ忙しくされているMさんが、扱いの大変な栗を、手間暇かけて毎年欠かさず作るということに尊敬しかありませんでした。
Mさんにそのことを聞いたことがありました。Mさんは「活動が楽しくて充実していると、他のこともスムーズにできるの。」とサラッとおっしゃっていました。確かに、私も好きなお菓子作りをしていると、他の雑用など、やらなければいけないこともスイスイできるような感覚があります。Mさんには活動を通して、人間としてどうあるべきか、ということを教えられたような気がします。
Mさんは体調を崩し、数年前に活動を引退され、今年天国へと旅立ちました。秋になると、もう一回、あの栗の渋皮煮が食べたいと思う、素敵な思い出です。
Mさん、ありがとうございました!
読書の秋です!秋の夜長を楽しみましょう。