「ロゴスのほん箱」146号を発行しました
新刊図書目録「ロゴスのほん箱」146号(6月20日号)を発行しました。
以下より点字データとデイジーデータがダウンロードできます。
●「ロゴスのほん箱」 第146号(2024年6月20日発行)●
点字版(zip・BES 11KB)
デイジー版(zip・11MB)
また、最新号から「潮見からのメッセージ」を以下に掲載します。
☆潮見からのメッセージ☆
読書バリアフリーと出版業界
館長 平井利依子
6月に入りました。今年もあっという間に半分が過ぎてしまいましたが、お元気でお過ごしですか。
2019年に成立した「読書バリアフリー法」という言葉は、聞いたことがあるかと思います。昨年「ハンチバック」という作品で芥川賞を受賞した市川(いちかわ)沙央(さおう)さんが、授賞式でこの「読書バリアフリー法」の推進を訴えたことでも話題になりました。
読書バリアフリー法は、「借りる」ことと「購入する」ことに対応した法律で、出版業界でも動きがあります。アクセシブル・ブックス・サポートセンター(ABSC)という組織も設立されています。そこでは、取り組みの理解周知と、出版者や関連の会社、団体などがTTS(Text to Speech:自動音声読み上げ機能)に対応できる環境整備に取り組んでいます。テキストデータ引き換えの半券がついている書籍もありますが、まだ少数です。
4月に、日本ペンクラブ、日本文藝家協会、日本推理作家協会の3団体は「読書バリアフリーに関する三団体共同声明」を出しました。「出版界、図書館界とも歩調をあわせ読書環境整備施策の推進に協力を惜しみません」とのことです。
出版者側と図書館側でどのような協力ができるのか考えたとき、やはり電子データを提供してもらい、それをテキストデータにすること、そこから点字変換をしたり、テキストデイジーを製作したり、拡大図書にすることだと思います。いちばんいいのは、出版社がアクセシブルなデータを提供することで、タイムリーに皆さんが読書を楽しめることです。利用者の方も、このような形態の図書が読めるような機器の操作等の習得は必要だと思いますので、そこは点字図書館が対応すべき大切な業務だと感じています。
出版業界も不況が続いていると聞いています。ただ、紙媒体にこだわっていた時代は終わり、電子書籍が普及しはじめている現在は、今後さまざまな利用しやすい形式で選択肢が増えると期待されます。
今回の共同声明は大きな意味をもつと考えられます。これらの動きを注視するとともに、皆さんに情報提供するため私たちができることは何か、躊躇せずに図書館界全体で力を合わせていきたいと思います。
少し堅い話になってしまいました。今月も「ロゴスのほん箱」を楽しんでください。