「通信あけのほし」285号を発行しました
支援者向けニュースレター「通信あけのほし」285号(4月14日号)を発行しました。
最新号の巻頭言と館長挨拶を以下に掲載します。
人工知能(AI)と人間の尊厳 菊地功(きくち いさお)
人工知能(AI)の存在は、フィクションの世界の夢物語ではなく、わたしたちの世界の現実となりました。生成AIのアプリを使えば、あっという間に情報を収集することが可能です。これまで様々な検索を重ねてやっと集めることができた情報が、即座に手に入ります。
わたし自身はさすがに作文に用いることはありませんが、自分が直接書いたつたない英語の文章を、もう少しまともな英語に手直しするために利用しています。確かにそういう意味では、非常に便利な「道具」ですが、「道具」であることを忘れて、逆に自分が提供される情報に支配されてしまう可能性もあることに注意が必要です。
人工知能ということば自体が、なんとなく居心地の悪い響きを持っています。そもそも「知能」は単に情報の集積や処理する能力のことではなく、実際の経験に基づいて学習したり、推論したり、真偽や善悪を判断した上で、試行錯誤の末に正解、すなわち真理に到達しようとする能力です。そうすると、生命(いのち)を持たない存在、すなわち人工的な知能というのは、あり得ない存在なのかもしれません。
ウクライナやイランでの戦争では、遠隔操作の兵器の倫理性が課題となっていますが、それを含め、教皇フランシスコは2024年の世界平和の日メッセージで次のように指摘されていました。
「遠隔操作システムによる軍事作戦が可能になったことで、それらが引き起こす破壊やその使用責任に対する意識が薄れ、戦争という重い悲劇に対し、冷淡で人ごとのような姿勢が生じています。人工知能の軍事利用を含む、いわゆる「自律型致死兵器システム」の分野における新規技術の研究は、重大な倫理的懸念となっています。・・・人間だけが有する道徳的判断力や倫理的意思決定能力は、複雑に集積されたアルゴリズムが及ぶものではなく、その能力をマシーンのプログラミングに落とし込むことは不可能です。」
人間という生命と心と身体を持った存在から切り離された人工的な存在が倫理観を支配するのであれば、その環境の中で人間の尊厳は損なわれ、共通善が崩壊する可能性は増し加わります。便利な道具をどのように支配し生かすのか。わたしたちの倫理観が問われています。
リニューアル工事の対応を重点に 館長 平井利依子(ひらい りいこ)
多くの会社にみられることですが、当館も4月を区切りとして、新しい年度が始まりました。
毎年4月発行の「通信あけのほし」には、事業計画をご紹介しておりますが、今年も例年どおりお伝えしたいと思います。
2025年度は録音室の移設が無事完了しました。録音室のある部屋は、録音室が2つと対面朗読室、少人数の会議や勉強会等ができる会議スペースがあります。現在、日本カトリック会館の会議室は使用できないので、録音室の部屋をフル稼働させています。対面朗読室は点字の読み合わせやオンラインの会議・勉強会、録音室は吹き込みのほか、一人で参加するオンラインの会議等にも使用しています。また、その会議スペースは点字教室や直接参加の勉強会、オンライン会議等に使っています。それぞれのスケジュールを確認し、調整して重ならないように工夫しています。
事業計画の重点施策は、2026年度に実施される日本カトリック会館リニューアル工事の対応を最優先としました。4月~8月は、8階建ての会館のうち、上層階の部屋の工事をします。上層階で仕事をしていた日本カトリック中央協議会の職員の方々は、おもに2階の会議室を使っています。下層階の部屋は9月に引っ越し、3月までが工事期間です。当館は1階にありますので、9月~3月は引っ越しをして、仮の部屋で業務をすることになります。おもに天井工事とのことですが、当初は、工事をする期間だけ仮の部屋へ移り荷物も必要最小限のものだけ移動すればよいとのことでした。しかし、業者との打合せで、半年の間はずっと仮の部屋で業務をしなくてはいけないことになり、荷物もすべて運び出さなくてはいけなくなりました。そのなかで、機器等は日々業務に使うものと使わないものに分けて設置や一時保管をします。
候補としてあがっている仮の部屋は録音室のある部屋です。そもそも職員・パート職員全員がそこで業務できるほどの空間があるのか、必要なものや機器類を置けるのか、そしていちばん心配なことは利用者への貸出しや出版物の発行など、情報提供ができるのかということです。できるだけ利用者への迷惑がかからないようにすることを念頭において、今後も業者・カトリック中央協議会と話し合い、しっかり対応していきたいと思います。
リニューアル工事の進捗状況は、今後もお伝えしていきます。
今年度は「ロゴスの文化教室」は工事のため開催はかないませんが、全国の組織に協力し、読書バリアフリーの促進につとめること、関東地区の点字図書館の協議会では秋期研修会である宿泊研修を担当しますので、職員全員で取り組んでいくことを重点施策としてあげました。また、職員が働きやすいように規程の見直しも行っていく予定です。
2026年度は工事の対応に取り組みつつ、利用者のニーズにも応えていかなければなりません。環境の許せる範囲で精一杯進めていきますので、引き続き見守っていただければと思っております。
今年度もどうぞよろしくお願いいたします。
