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「通信あけのほし」282号を発行しました

支援者向けニュースレター「通信あけのほし」282号(7月29日号)を発行しました。
最新号の巻頭言を以下に掲載します。

  巻頭言 続・教皇選挙   菊地功(きくち いさお)

 前回の巻頭言で、映画「教皇選挙」について書きましたが、その後、実際に教皇フランシスコが帰天され、5月の初めに本当の教皇選挙が行われました。ご存じのように、新しい教皇としてレオ14世が選出されました。
 教皇選挙における投票権を持つのは80歳未満の枢機卿で、現在日本の教会には大阪高松教区の前田枢機卿様と東京教区のわたしの二人の枢機卿がおります。今回の教皇選挙の時点で投票権を持っている枢機卿は135人。そのうちの二人が病気のため欠席をされました。世界に14億人は存在すると言われるカトリック教会の最高指導者(牧者)を選出するという歴史的な出来事に立ち会うことになり、その毎日は緊張の連続でした。
 前教皇が亡くなられた翌日からすべての枢機卿を招集しての総会が始まり、わたしも即座に駆けつけることはできませんでしたが、葬儀に間に合うようにローマへ飛び、総会の5日目から参加することができました。総会は、教会の現状と今後への展望について、枢機卿たちが自由に意見を表明する場で、そこで出された様々な意見を受け止めて、新しく選出される教皇はその治世を始めることになります。
 総会が終わり、5月6日の夕刻に、教皇選挙のための宿舎に133名が集まったとき、有力な候補者が誰であるかを明確に意識していた枢機卿はいなかったと思います。事前にインターネット上などでは、様々な枢機卿の名前が、有力候補としてあげられていました。総会を数日間続けて、いまの教会の課題を明確に意識する中で、教会の舵取りをするのに最善の候補は誰か、抜きん出た候補の枢機卿はいなかったのです。
 映画「教皇選挙」はよくリサーチされた作品だと思います。投票のシーンなどは本当にそのままでした。実際にシスティーナ礼拝堂で選挙に参加しながら、「ああ、映画の通りだ」と思ったことが何度もありました。
 しかし大きな違いは、映画は人間の権力闘争の物語です。本当の教皇選挙は、神の聖霊によって導かれた祈りの時でした。誰ひとり想像していなかった人物が、教皇に選出されました。しかも選出されたレオ14世の経歴は、宣教師であり、組織の管理者であり、バチカンの経験もある、いま必要とされている人物でした。神の聖霊は選挙の場に働いていました。

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